7月5日に発表、発売された新型ジムニーとジムニーシエラは、現在サイドキックに乗る和邇さんにとっては、夢にまで見たラインナップ。
 小型車のジムニーを手に入れようとしていた80年代の終わりに、その夢を奪ったのが、何を隠そう当時のジムニー1300を廃盤に追い込んだエスクードの登場だったのだ。

 「ここまで来たら、あとはシエラに5ドアが追加されれば満願成就なのですよ」

 という和邇さんに対して、サイドキックの車検を請け負うフジ・オートの渡辺代表は

 「長年進化させてきたエスクードを脇に追いやって、シエラのロングなんてやめてくださいよ。そんなことをメーカーはやってしまうんでしょうか」

 「当然、考えているでしょう。シエラに搭載したK15Bというエンジンは、海外じゃ7人乗りの車体を引っ張っている。かつてエスクードにノマドが追加されたときの再現がなくて、この機を活かせるはずがない」

 「ということは、2020年あたりにシエラのロングが登場するということですか」

 「可能性としてそうなれば、これまでずっと初代エスクードにこだわってきた人々にとって、ようやく次に乗りたいと感じるコンパクト四駆が手に入るんです。それが初代エスクード絶滅のシナリオ」

 「雷蔵さんが自らそんなことを言うとは意外だなあ。私はエスクードが切り開いたコンパクト四駆の魅力をジムニーが刈り取っていくことが哀しいですねえ」

 「四代目エスクードがドラスティックにユーザー層を切り替えた以上、それまでの顧客を手放さないためには必要なことでしょう。渡辺さんは、シエラはショートであるべきだと。で、和邇さんはどうされるんですか?」

 「今後の動向を見るためにも、サイドキックの車検を通して、いまは見送りでしょうね。雷蔵さんには・・・聞くだけ野暮ですか」

 「僕はまだJ20Aのエンジン扱ったことないので、その気になればもう一手、初代に行き場を遺しているから」 

 「うちの長女は今すぐシエラのジャングルグリーンなどと言ってますが、まあジムニーの方で納得させるしかないかな」 

 「それでは和邇さん、車検の間の代車はハスラー(FリミテッドU)とスペーシアカスタムのどちらにします?」

 「緑色のハスラーなんか乗って帰ったらその場でうちの子にしようって言われちゃいますよ? イチかバチか、スペーシアで」

 「えー? まさかの乗り降りしやすいってところが気に入られちゃったらこのへんてこな顔つきがシエラロングが出るまでの後継車になるの?」

 「しょーがないじゃん。僕だってサイドキックには愛着あるんだから、将来あれをどうするかの展望のためにもこうして車検通すのよ?」

 というその日の午後、和邇家ではスペーシアカスタムについて

「イケメンには程遠い」
「中南米の蛾みたいな顔してるくせに内装がセミアンティークの家電品みたいでチグハグ」


 などあまりの評価の低さに、シエラのロングが出たら即買いせよとの下知がなされたとか。
 もっともロングボディが出るかどうかは、あくまでも妄想で対話していることだが・・・